米原ヤエヤマヤシ群落
2026年5月22日

石垣島の桴海於茂登岳(ふかいおもとだけ)北嶺の米原(よねはら)地区

1属1種の貴重なヤシヤエヤマヤシ 学名:Satakentia liukiuensis の自生地です。

さとうきび畑の向こうに見える並木


ヤエヤマヤシは1955年頃まで、「ノヤシ」や「ビンロウ」と呼ばれ、八重山諸島と小笠原諸島に限られる同種のヤシと考えられていました。


1963年に佐竹利彦博士、初島住彦(鹿児島大学教授)、村田弘之(植物研究者)の調査・ 研究により、八重山諸島の石垣島米原地区のヤシは小笠原諸島のヤシとは異なる新種であることが発見されます。


左:小笠原諸島のノヤシ 右:ヤエヤマヤシ(夢の島熱帯植物館)

当初 学名:Gulubia liukiuensis Hatusima(グルビア・リュウキュウエンシス・ハツシマ)と命名・発表されます。
当時の琉球政府文化財保護委員会により 「ヤエヤマヤシ」と名が改められました。

その後、当時ヤシ研究の第一人者であった米国コーネル大学のムーア教授が沖縄を訪れました。
調査・研究を重ねた結果、石垣島と西表島のみに自生する一属一種の固有種であり、世界的に珍しいヤシであることが確認されます。

ムーア博士は1969年10月、佐竹利彦博士の尽力に敬意を表して、新しくSatakentia liukiuensis(サタケンチア・リュウキュウエンシス)と命名しました。
ヤエヤマヤシを除いたGulubia (グルビア属)8種はDNA解析により現在Hydriastele(ヒドラステレ属)40種に統合されています。


佐竹利彦博士


石垣島の「米原のヤエヤマヤシ群落」は沖縄が本土復帰する以前の1959年、当時の琉球政府により天然記念物に指定されました。


さらに復帰後の1972年に、改めて西表島の「ウブンドルのヤエヤマヤシ群落」とともに国の天然記念物に指定されました。


サタケ八重山ヤシ記念館

 2005年2月5日オープン
入館料 / 300円(小学生以下無料)
開館時間 / 9:00〜17:00
休館日 / 年中無休


八重山ヤシの分布

ヤエヤマヤシは八重山諸島にのみ分布する固有種です。ただし、分布は3ヵ所に限られています。
なぜこのような分布になったのかを解明するために、航空写真や地形データを使った研究が進められています。

ヤエヤマヤシの樹高は15~20m、葉は長いもので5mに達します。

このため、航空写真でヤエヤマヤシの分布を正確に知ることができます
なお、この研究は、琉球大学理学部地学系の古川雅英教授が行っており、航空写真は (株)アジア航測が撮影しました。


1. 石垣島 米原地区

左の 航空写真から判読できたヤシ科植物の本数は1625本です。この中には、 植林されたと考えられるものが含まれています(矢印は記念館の位置)
ヤエヤマヤシは、原生のものは標高50~100mの範囲に集中して分布しており、なかには標高200m近い高所にまで分布を広げています。
右の図はヤエヤマヤシの分布(赤丸)と地形 地形の等高線は50m間隔(国土地理院)


2. 西表島 星立地区

星立地区の群落は、航空写真から合計94本のヤシ科植物が確認できます。
ヤエヤマヤシだけではなく、同じヤシ科植物のクロツグやピロウも一緒に構成されています。
標高10〜20mにして分布しており、一部が標高100m付近にまで分布しています。


3. 西表島 ウブンドゥル地区

ウブンドゥル地区は仲間川の上流にあります。
他の2地区が海岸に近いのに対して、この地区は内陸にあることが特徴です。
航空写真から判読できたヤエヤマヤシの本数は325本で、 分布標高は20〜40mです。
右の画像は一部を拡大したものですが、ヤエヤマヤシが直線的に配列しています。これも他の2地区には無い特徴です。
植林されたようにも見えますので、 今後確認が必要がでしょう。


ヤシと人とのかかわり

ヤシの実に含まれるタンニンは抗酸化作用の働きがあり、ヤシ殻培養土には根腐れ防止の効果もあるとか

ヤシで作られた道具は丈夫そう

ヤシの繊維は腐りにくいから街路樹のヤエヤマヤシの落ち葉で側溝が詰まりやすいと聞きました

世界のヤシの種

ココイデスやロビンソンクルーソーパームの和名を初めて知りました。
学名は2005年から変わっているものもありますね、和名や通称で浸透してほしい気もします。


世界一小さいヤシ

模型が大変良くできていて実物そっくりでしたのでオタクが注釈を入れさせていただきます…m(_ _)m
このヤシは世界一小さいヤシ、テネラという商品名で流通したチャメドレア・メタリカという種で、
本当のチャメドレア・テネラはメタリカの半分程度の大きさで葉の長さは6pぐらいしかないんです

テネラは乾燥や明るい場所に弱かったり気難しく園芸品種としては向いていないので、流通種ではメタリカが一番小さいでしょう。
AIに世界一小さいヤシは?と聞くと、ポテトチップパームが挙げられますが多分テネラのほうが小さいです…


ヤシガニの剥製

石垣島で生きたヤシガニに会えました。その記事はまた後ほど

グッズ売り場でサタケンチャTシャツを購入

もちろんその場で着替えました(笑)


記念館の屋上は360度ヤエヤマヤシが見渡せる 絶景です

記念館と群落は遊歩道で繋がっています。どちらにも駐車場があるので車で行き来できます。

株立ちのアレカヤシも凄い

大きなソテツは台湾から輸入して植えられたそうです。
庭師さんが棘が鋭くて剪定するのが大変でと仰ってました。

記念館に植栽されているヤエヤマヤシは管理されていて溜息が出るほど美しい


原生林のヤエヤマヤシの苔生したワイルドな感じも素晴らしい



米原の八重山ヤシ群落

記念館に近い米原のヤエヤマヤシ群落には、「世界で最も美しいといわれるヤシ、ヤエヤマヤシ」が400~500本自生し、世界でここだけの景観をみることができます。


遊歩道の突き当りはウッドデッキが造られていて25m級の巨木を安心して見上げられる。

八重山ヤシ群落の入口にある人気のジュース屋さん「ぱぱや」

平日と休日に行きましたが、休日は駐車場まで行列になっているので待ち時間を計算に入れて下さい。
水も砂糖も使用せず、石垣島のフルーツ100パーセントのジュース

さとうきびジュースとカニステル+さとうきびのミックスジュース。
さとうきびは青臭さが全くなくすっきりした甘さ、カニステルはスムージーのようなねっとり感と上品な甘味でした。
自生する八重山ヤシを鑑賞した余韻を残して飲む冷たいジュースは絶品でした。


2007年に西表石垣国立公園の特別保護地区に指定され、動植物の採取などは一切禁止されています。


ギランイヌビワ

名前にイヌが付く植物は似ていて劣るもの(否=いぬ)からきていているとか。本家のビワほど甘くないことかららしい。
熱帯雨林の植物特有の板根に、幹から直接生える実はジャボチカバみたいに見えて珍しかったです。

ギランイヌビワの板根の隙間にヤエヤマヤシの双葉苗が生えています


サキシマキノボリトカゲ

止まって腕立てのような動きをしていた。そよ風に揺れる葉に似せた擬態でしょうか、
その後非常に素早い走りでヤエヤマヤシの幹に飛び移り登っていきました。

ヤエヤマヤシの花房

米原以外にも島内にヤエヤマヤシは沢山生えているので種を拾うことは可能ですが発芽率は非常に低いそうです。
私もヤエヤマヤシの種は過去に何度も挑戦していますが一度しか発芽したことがありません。

たしかにヤエヤマヤシ群落には沢山ある親株に対して、その赤ちゃんはまばらにしか生えていません。

ウッドデッキの通路がなければ踏まれて無くなってしまいそう


木の周りに比較的多く見られました。
ヤシの幼苗は強光で枯れてしまうことが多いので遮光環境(キャノピー)が必要です。


中にはヤエヤマヤシの気根で発芽して成長しているものも

道の脇に多く見られました

コンクリートや石はマルチの働きをするのかもしれません。
庭の地植えで根元の土を隠すように物を配置すると成長が加速します。


ヤエヤマヤシの特徴

幹は分岐せずに真っ直ぐ伸び、幹の直径は20〜30cmです。

幹高2〜3mの幹径は結構細い


すべすべの幹のまま膨張して太くなっていくのは不思議です


高さは15〜25mに達します



葉について

大きな羽状複葉で、長さは4〜5mにもなります。


小葉(葉が集まったもの)は多く、多いもので90対以上つきます。


小葉の大きさは長さ30〜70cm、幅3〜4cm。葉の裏面は白っぽいのが特徴です。



葉鞘(ようしょう)クラウンシャフトと呼ばれる部位

判別するときこのあずき色からオリーブグリーンのクラウンシャフトを見るのが一番わかりやすい。

若木の頃はあずき色が薄い


展開中の新芽の槍


若木の葉 薄くて柔らかく透明感があります

クラウンシャフトが出る前の若木は遠目に見るとココヤシや、たまにいる葉先の尖ったクロツグヤシと間違えるかも

これらの判別方法は…

ココヤシは小葉の付け根の断面が逆V字になっていて固い感じ


これはゴールデンタイプなので判別しやすい


たまにいる葉先の尖ったクロツグヤシ


クロツグヤシは葉軸まで細く、芯に黒い繊維が見られるところから判別できます。



肉穂花序と花

葉の根元から長さ1mほどの大きな花序(花の集まり)を放射状に出します。
クリーム〜黄色の花を穂状に多数つけます。

結実時期は7月〜10月頃だそうです。
果実と種子 実は赤く熟し、長さ約12〜13mmの楕円形を
果実と種子 実は赤く熟し、長さ約12〜13mmの楕円形をしています。


気根(根)

地表近くで根が大きく張り出し、洗濯板やミミズのような特殊な形状を見せます。


大きな岩盤の上にあるのでしょうか

サタケ八重山ヤシ記念館に植栽されているヤエヤマヤシ


米原ビーチ駐車場のヤエヤマヤシ

植栽では自生地のような気根が見られません


台風が来ても根元をしっかり支えているのでしょう

米原ヤエヤマヤシ群落の近くには住宅地もあります。

ヤシファンとして米原で生活できたら何も思い残すことはないですね


素晴らしいガイドをして下さったM様に心より感謝を申し上げます。


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